

夏が高温多湿な日本の住宅には、木材ほかの呼吸する素材が長く使われてきました。巧みに湿度調節をしてくれるそのすばらしい機能は、多少の欠点を補って余りあるものだったのです。ところが、建材の見栄えや仕様の正確さばかりを重視する傾向が強まって60年代から新建材が目立ちはじめ、木の特性を知らない施工業者も増えて、消費者に木の特性や価値が伝わらなくなって行きました。やがてはわずかな節や割れなどにもクレームが出るようになり、それを避けたい施工業者はますます新建材へと傾いて行ったのです。

新建材の長所を見ると商品としての性格がよくわかります。まずは低コスト。利益を多めに乗せても安くできるからよく売れて儲かります。次は品質・仕様にムラがないこと。これは製造も施工も大変ラクです。そして見た目がキレイなこと。様々な色や模様がつけられるのでワガママなお客の好みにも合わせられます。
なるほどこれなら、少々割高・品質にムラあり・見た目限定…の木材とは違って売れそうです。でもちょっと待ってください。これはどう考えても生産者・施工者の都合が優先されているのではないでしょうか。

もちろん消費者にとっても価格抑制・品質安定・色柄豊富というのは魅力です。確かにこれだけで売り手の都合優先とは言い切れません。意見に説得性を持たせるにはもう一面の短所を見る必要がありそうです。ところが新建材の短所と来たら…有害物資を放出する、再生・再利用しにくい、廃棄しても分解されず環境負担が大きい…とまぁ社会問題でヤリ玉に上げられるそうなことばかり。経済最優先の大行列を繰り広げて来たツケの一端です。最初は消費者も望んでいたのでしょうが、こうなるとわかっていたら誰だって…。

一般的に木材は確かに建設資材としては新建材より手間がかかります。品質・仕様の均一化が難しく、節や割れなどもあり、色や模様だって自由にできないのですから。でも、木には欠点を補って余りある素晴らしい長所がいっぱいあるのです。
自然に湿度調節をして結露やダニ・カビの発生を抑えてくれたり、優しい手触りや爽やかな香りでリラックスさせてくれたり…。私たちの暮らしに潤いを与えてくれる木を、いまこそ見直したいものです。
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